子どもが不登校になってから、私は子どもと一緒にいる時間がいっきに増えていきました。
そんなある日のこと、私は子どもの行動に違和感を感じました。
息子が急に首を、正面から右へ90度ひねることが多いことに気づいたんです。
最初はただのクセだと思っていたんですが、不登校について調べている時にたまたまそのクセだと思っていた行動は「チック」という症状であることを知りました。
今回はそのチックについてまとめようと思います。
チックの症状
チックとは
チックとは、ある日突然本人の意図も目的もなく筋肉が一定の動きをしてしまう現象です。
一般的には3~4歳から始まり、7~8歳の子どもに多くみられますが、ほとんどの場合が一過性で1年以内に消失することが多いようです。
そして、このチックは運動性と言語性に区分されていて、症状が4週間以上1年未満の場合を一過性チック、1年以上続く場合は慢性チックと呼ばれています。
原因は体質的なものと考えられていますが、環境や心理的な問題が症状を助長させている場合もあり、大きな不安や興奮・激しい疲労は症状を悪化させますが、落ち着いている環境では症状が出にくい傾向があります。
チックが発生した時は、本人に不安な事やストレスがないかを考えてあげることが重要です。
代表的なチックの症状
〇運動性チック
ぱちぱちとまばたきをする・肩をすくめる・鼻をむずむず動かす・口をゆがめる
顔をしかめる・首を振る など
(複雑な症状としては)
何度も手を伸ばして物を触る・飛び跳ねる・地団駄を踏む など
動きが大きくなったり、一定のパターンの表情を繰り返すこともある。
〇音声チック
「あっ」「んっ」などの意味のない発生・鼻を鳴らす・咳払い など
(複雑な症状としては)
汚い言葉を何度も言う・相手の言葉を繰り返す など
チックが長期間続く場合
トゥレット障害(トゥレット症)とは
トゥレット障害とはチック症の一種で、多様な運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上続くのが特徴です。
症状は1年以上持続するため、それが障害だと本人も周りの人間も気づかないと、日常生活で様々な困難が生じてしまいます。
発症時の特徴としては、発症年齢は平均的に4~6歳で、重症度のピークが10~12歳くらいにくるといわれていているようです。
また、トゥレット障害の有病率は、学童期の子どもで1000人あたり3~8人くらいのようです。
トゥレット障害の原因とは
トゥレット障害の原因は、まだ正確には分かっていないようです。
しかし、家系的な発症が多いことから、遺伝的要因の関連性や脳の機能障害の関連も指摘されています。
トゥレット障害を悪化させる要因とは
トゥレット障害の症状を悪化させる要因には、環境・気質・その他の3つの要因に分けられます。
〇環境要因
トゥレット障害の症状は、仕事や学業に集中している時や落ち着いている時は症状がでにくいものの、不安・興奮・強い疲労などのストレスによって悪化します。
〇気質要因
対人関係が苦手・不安やストレスを感じやすい、緊張を感じやすいなどの繊細な気質の子どもは、トゥレット障害を発症しやすい傾向があります。
〇その他の要因
併発した他の疾患が、トゥレット障害特有の症状を悪化させてしまう場合があります。
例えば、結膜炎の際のまばたきが癖になってしまったり、ADHDの薬が症状を促進させるなど。
トゥレット障害のよくある合併症とは
トゥレット障害のある人は、その他の障害も併発することがよくみられるようです。
そのよくある障害とは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)と強迫性障害です。
また、その他の障害として、学習障害・睡眠障害・気分障害・自傷行為などがあります。
ただこれらの障害の場合は、トゥレット障害の症状が出てしまうことへの不安や、学業や仕事をするうえでの何らかの壁が原因となる「二次障害」と考えられるようです。
トゥレット障害の治療方法とは
トゥレット障害の治療では、基本的にはトゥレット障害を無くすことを目的としていないようです。
そのため、本人やまわりの人への心理教育や環境調整が治療の基本とされ、そのうえで薬物療法も施されるようです。
〇心理教育と環境調整
症状が軽い場合は、家族・学校・職場などのまわりの理解を得ることで普通に生活することができます。
そのため、当事者本人や関係者に対して適切なアドバイスや情報提供をすることで、社会に適応できるようにサポートしようというのが、この心理教育と環境調整にあたります。
〇行動療法
症状が重症・慢性化している場合には、習慣逆転法(ハビット・リバーサル)という行動療法がとられるようですが、まだ日本では普及しておらず、一般的な治療法ではないようです。
〇薬物療法
この薬物療法は、上記の方法では改善できない場合にとられることがあるようです。
〇外科治療
この外科的治療は、上述した3療法でも治療できない場合に施されることがあるようです。
トゥレット障害を相談できる場所
適切な相談先としては下記の機関などがあります。
■幼児期・乳幼児期の場合・・・小児心療内科・児童精神科など
■大人の場合・・・精神科・神経内科・心療内科など
この他にも、保健所・精神保健センター・発達障害支援センターなどがあります。
さいごに
チック症は本人の意思とは関係なく症状が出てしまいます。やめるように伝えたところですぐに改善するわけではありませんから、声かけには注意が必要です。
クセのような行動の頻度が多すぎたり、期間が長すぎたりする場合には、2次障害を発症させないためにも、早めに相談機関で相談する方がいいかもしれません。
うちの子の場合、首振りや目をぎゅっとする症状がたまに出るのですが、そういう時は子どもが好きなご飯を作るようにしたり、子どもが興味があることに一緒に取り組んであげたりと、心をほぐしてあげるように心がけました。
そうしたら、薬を飲むことは全くなく、見守っているだけで自然に治ってしまいました。